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【件数は若干増加ながらも、負債額は1000億円台に】
2019年の全国繊維業者の倒産(負債1000万円以上=整理・内整理含む)は418件発生し、前年比5件(1.2%)増加となった。負債額は1058億6400万円、前年比293億3100万円(38.3%)増加し、平成年代最少に止まっていた2017、2018年の700億円台を大きく上回り、2015年以来の1000億円台となった。
2018年1月は倒産件数が50件となったが、今年度は40件を超えたのが3ヵ月に止まったことで、前年増加となったものの、当初の予想より低水準に終わった。
負債額100億円以上の大型倒産は2014年以降引き続き発生しなかったが、50億円以上の倒産は前年0件に対し、今年は㈱サンヒット(埼玉県八潮市、繊維手芸品製造ほか、負債額89億3700万円)、㈱ラストステージ(福島県喜多方市、婦人カジュアルウエア小売、負債額66億9200万円、旧商号:㈱エムズ)、㈱リファクトリィ(東京都中央区、婦人服ほか製造小売、負債額60億1400万円)、マザウェイズ・ジャパン㈱(東京都江東区、ベビー用品・子供服小売、負債額59億6000万円)の4社。30億円以上も4社発生し、負債総額を大きく押し上げた。
2019年は粉飾決算発覚が破たんの引き金となった前述の㈱サンヒット、㈱リファクトリー、㈱アップステージ(東京都中野区、布帛シャツほか縫製ほか)。高級インポートブティックの㈱サンモトヤマ(東京都中央区)や、創業者が過去大阪商工会議所の副会頭を務めた㈱サンリット産業(大阪市中央区、制服製造)など業界著名企業の破たんも見られ、業界全体の構造不況が映し出される結果となった。
2019年は参院選挙で自民党が過半数を確保、安倍首相が通算在職日数で歴代最長となり、国内政情は比較的安定。しかし、韓国との関係悪化や米中貿易摩擦など海外情勢は波乱の年であった。
国内経済は相次ぐ台風被害で関東圏に大きな被害をもたらし、10月の消費税増税で多少の駆け込み需要はあったものの、その後は各種統計をみても消費は落ち込んでいる。
繊維業界は冷夏、暖冬と天候不順に見舞われたことで苦戦を強いられ、百貨店やスーパーが相次ぎ店舗の閉鎖・縮小を発表。また、オンワードホールディングスも600店舗を閉鎖する方針を打ち出し、希望退職も募るなど2020年度の業界見通しは一層の厳しさが予想される。
業種別では「小売商」が163件で全体の39%を占め、次いで「紳士・婦人・子供・被服製造卸」106件(25.4%)、「その他」47件(11.2%)、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」43件(10.3%)、「染色整理・特殊加工」15件、「呉服・和装製品製造卸」14件、「寝具・インテリア製品製造卸」11件、「織物卸」8件、「織物製造」7件、「糸及び原料卸」3件、「紡績・撚糸」1件。
原因別では「業績ジリ貧」が361件と全体の86.4%を占めた。
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