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2020年(令和2年)6月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は26件で、前月比で4件(18.2%)増加したが、前年同月比では2件(7.1%)減少となった。
負債額は55億6000万円で、前月比147億2200万円(72.6%)、前年同月比では127億4400万円(69.6%)減少した。
負債額10億円超の大型倒産は㈱ほの国百貨店(愛知県豊橋市、百貨店、負債額12億9700万円)1社。同5億円以上も㈱ラブリークィーン(岐阜市、婦人フォーマルウエア製造、7億4900万円)1社のみ。その他の大半は少額案件で、負債額2億円以下の倒産が18社と約70%を占めたこともあり、上半期では2月に次ぐ低い水準となった。
㈱ほの国百貨店は名古屋の老舗百貨店㈱丸栄の子会社として、JR豊橋駅前に出店。その後、従業員が株式を買収して、2012年(平成24年)に新体制で再スタートしたものの業績は低迷。直近3期は連続の赤字決算となり、今年3月に閉店した後、5月の解散決議を経て特別清算を申請した。
㈱ラブリークィーンは東証1部上場の㈱RVHの子会社だったが、6月3日付で別会社に株式を譲渡。新体制となった矢先、コロナ禍で10日の支払いができない旨を関係先に通達したことで動向が注目される中、譲渡後2週間での破たんとなった。
緊急事態宣言が解除され、営業を自粛していた百貨店やチェーンストア、小売店などが6月から営業を順次再開し、各方面で経済活動が正常化に向けて動きだしたが、県外移動自粛要請が解除された6月19日までは限定的な動きに終始した。
大手企業やその系列工場などでは、7月中旬まで来社・訪問の自粛を継続する先や生産調整を継続する先があり、一般オフィスでもテレワーク体制を本格導入するなど、依然として多くの業種で経済活動の抑制を強いられている。
繊維業界でも小売業にとどまらず、製造業では稼働率が低下したままの状況にあり、商社や問屋などでは返品や受注キャンセルに対応に追われる先も少なくはない。
上場企業の3月決算の発表が一段落したが、多くの企業が今期決算の予想を「未定」としている。また、新規感染者数は少数ながらも、東京を中心に関東圏で発生が続いており、第二波に対する警戒感も強く残るなど、先行きの不透明感は否定できない。いわゆる「コロナ関連倒産」の発生が本格化するのは、7月以降と思われ、資金力が脆弱な企業の倒産や廃業が多発することが予想され、引き続き動向に注視する必要がある。
業種別では、「小売商」12件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」9件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」2件、「呉服・和装製品製造卸」「寝具・インテリア製品製造卸」「その他」各1件。
原因別では、「業績ジリ貧」が19件で73.1%を占め、他は「業況急変」7件。
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