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2021年(令和3年)4月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は21件で、前月比5件(19.2%)減、前年同月比では13件(38.2%)減と、昨年5月から12カ月連続の減少となった。
負債額は29億8100万円で前月比15億4700万円(34.2%)減、前年同月比では100億2600万円(77.1%)減少した。前年同月比が大幅に減少したのは、前年は負債額10億円以上の大型倒産が3件発生し、その3件の負債総額が102億8000万円だったことが背景にあるため。
負債額10億円超の大型倒産は発生せず、5億円以上も㈱トモエ(旧商号㈱マエノ、岡山県倉敷市、紳士カジュアルウエア製造ほか、負債額6億円)1社のみで、次いで北陸化繊㈱(石川県羽咋郡、撚糸製造・加工、負債額4億円)、その他は大半が少額倒産だった。
㈱トモエは学生服を中心に紳士カジュアルウエアの自社ブランドを展開。小売店に販路を形成し、ピーク時の1991/5期には年商22億3332万円を計上していた。しかし、学生服部門の不振などから、1998/5期は年商9億5100万円にまで落ち込み、2432万円の赤字決算となったため、以降はジーンズほかカジュアル主体に転換。婦人服のアウトレット店を開設するなどして経営再編に取り組んだものの、再び業績が悪化。2020年11月30日開催の株主総会の決議により解散し、特別清算を申請した。
北陸化繊㈱は商社から受注して衣料向けの撚糸を柱にカバーリング、分繊の委託加工を手がけていたが、過去には車両向けの受注に移行するなど、長らく柱となる受注先に恵まれなかった。2015年に取引地盤が整い、以降は一定量の受注を確保していたものの、資金繰りの見通しが立たなくなった。
繊維業界ではコロナ禍前の水準には至らないながらも、一部の店頭では商況に回復の兆しが見えはじめ、メーカーの展示会や商談会も再開され、自社独自の付加価値を付けたマスクの開発が軌道に乗り、新たな販路に活路を見出す企業も出ている。
しかし、コロナ感染が「第4波」に入ったとして、緊急事態宣言の再発令が求められて、店頭小売への影響は不可避の状態となっている。また、国内の生産面でも助成金の受給を得られることから、大手工場を中心に稼働日数を減らす動きが見られ、秋冬衣料のキャパシティ、納期問題も発生する可能性があり、業況が好転しても追加発注は厳しい状況になっているとも聞かれる。
業績が回復しない中、いち早くコロナ関連融資を導入した中小・零細企業では返済が始まる先もあり、現況倒産は低水準ながらいつ増加に転じるかは、予断を許さないものとみられる。
業種別では、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「小売商」各5件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」4件、「その他」3件、「染色整理・特殊加工」2件、「紡績・撚糸」「糸商及び原料商」各1件。
原因別では、「業績ジリ貧」が18件で85.7%を占め、「業況急変」3件。
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