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2022年の全国繊維業者の倒産(負債1000万円以上=整理・内整理含む)は247件発生し、前年比18件(7.9%)増となった。
負債額は432億4300万円で前年比11億8600万円(2.7%)減となり、2年連続で過去最少を更新した。
上半期(1~6月)の件数は1、2月を除き前年同月を下回ったため、前年同期比は11件の減少となったが、下半期は7月を除き前年同月を上回ったことで、年間倒産件数は2年ぶりに増加に転じた。
しかし、負債額は4月が統計開始以来、実質過去最少の4億1400万円、単月で50億円を超えたのは8月95億5000万円、3月53億6400万円のみであったことから過去最少を更新することとなった。
負債額100億円以上の大型倒産は前年同様0件、同50億円以上も発生しなかった(前年1件)。負債額が最も多かったのは三崎商事㈱(大阪府箕面市、婦人服・洋品卸ほか、負債額46億6300万円)で、次いで㈱アイ・エム・ユー(東京都中央区、婦人服製造、負債額18億円)、その他負債額10億円以上は3件。
三崎商事㈱はヨーロッパ高級ブランドのインポーターとして著名企業で、百貨店へのインショップ展開、専門店への卸売も手がけ、1991/2期には年商216億1800万円を計上していた。しかし、その後は有力ブランドの扱い中止などで売上は低下、不動産関連・デリバティブ損失などで赤字期が散発。近時は更にコロナ禍で業況が悪化し自主再建を断念、民事再生法を申請。アパレルReSTARTファンド㈱をスポンサーとして再スタートを切ることとなった。
㈱アイ・エム・ユーはミセス対象の婦人服全般を扱い、大手TV通販を主力に販売を形成し売上を伸ばすほか、M&Aで小売企業を子会社化し、グループで業容を拡大。しかし、拡大路線が資金繰りを圧迫し、取引銀行や主力取引先が譲渡登記を設定、更に金融機関へのリスケ要請、決済代行業者の債権譲渡登記設定などで信用不安が拡大し、事業継続が困難となった。
上記2社ともにコロナ禍の影響も倒産要因ではあるものの、それ以前から業績・資金面も含め不安視されていた企業である。急激な円安・中国ロックダウンによる商品入荷難など、今年の突発的な要因により破たんした企業もあるが、大半の倒産は過去からの業績不振によるところが大きい。
繊維倒産は2021年から件数、負債額とも記録的な低水準が続いているが、その背景には「各種優遇措置」や「助成金」等の度重なる延長があると見られる。また、「ゼロゼロ融資」の返済開始時期が今年7月から来年4月に集中する見込みのため、昨年末には中小企業を対象とする「コロナ借換保証」が新たに創設された。
これらの措置は、零細・中小企業の多くがコロナ禍での業績不振から脱却できず、さらなる資金面の優遇措置が必要との見解で実施しているともとらえられ、実経済は予断を許さない状況が続いている。
業種別では「小売商」が83件で全体の33.6%を占め、次いで「紳士・婦人・子供・被服製造卸」64件(25.9%)、「その他」32件(13.0%)、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」27件(10.9%)、「織物製造」14件、「染色整理・特殊加工」11件、「呉服・和装製品製造卸」6件、「織物卸」5件、「寝具・インテリア製品製造卸」4件、「糸及び原料商」1件。
原因別では「業績ジリ貧」が212件と全体の85.8%を占め、次いでコロナ禍原因を含む「業況急変」が29件(11.7%)、「資金力薄弱」5件、「信用度薄弱」1件。
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