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2024年(令和6年)8月全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は33件で、前月比1件(2.9%)減、前年同月比10件(43.5%)増加した。
負債総額は46億3100万円で、前月比は33億1400万円(41.7%)減、前年同月比は12億2700万円(36.0%)増となった。
負債額10億円以上の大型倒産は発生せず、同5億円以上は㈱中三(青森県弘前市、百貨店、負債額9億円)1件のみであった。
負債額1億円未満の小規模倒産が半数を占めた点はこれまでと変わりはないが、同2~3億円の倒産が多数発生したことで、例年の8月と比べ倒産件数が増える形となった。
㈱中三は1896年呉服小売で創業した老舗で、1964年7月百貨店に業態転換。北東北地区百貨店の雄として盛岡市や秋田市に店舗を構え、ピーク時の1998/8期は年商415億9280万円を計上した。その後は減収基調となる中、東日本大震災が発生したことで、盛岡店の事業再開が見込めなくなり、2011年3月青森地裁に民事再生法を申請した(2015年2月26日再生手続終結)。以降はファンドがスポンサーとなり、青森店と弘前店の百貨店事業に絞り込んで経営再編に取り組んだものの、業況が好転しないままコロナ禍となり、親会社からの支援を得て営業を続けていた。しかし、今年に入り支払遅延が表面化し、水面下で百貨店事業の承継先を模索したものの候補は見つからず、事業継続を断念した。
地方都市では全国展開する大手量販店や専門チェーン、安価なネット通販と競合が激化して取り巻く商環境が厳しさを増している。今年5月には㈱中三と同様に呉服小売で創業した㈱藤丸(北海道帯広市、負債25億3900万円)が破たん。また同月、倒産ではないが、鹿児島県内と宮崎県内で百貨店4店舗を展開している㈱山形屋が、5月28日開催の債権者会議で事業再生計画が合意され、事業再生ADRが成立した。
さらに7月には髙島屋岐阜店が閉店するなど、駅前に店舗を構える好立地であっても苦戦を強いられる状況下にある。繊維業界は東京、大阪などインバウンド需要が期待できる一部の商圏を除くと、中小・零細の多くは業績の回復が遅れている。中には銀行借入金のリスケを繰り返すことで辛うじて経営を維持している先や、後継者難のため先行き事業継続の見通しが立たない先もあり、今後も引き続き地方都市の小規模小売店を中心に「清算型」の倒産が多発することが考えられる。
業種別では「小売商」13件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」6件、「その他」5件、「寝具・インテリア製品製造卸」3件、「染色整理・特殊加工」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各2件、「織物卸」「呉服・和装品製造卸」各1件。
原因別では「業績ジリ貧」28件で85%を占め、「業況急変」5件。
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