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2025年(令和7年)2月全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は27件で、前月比は3件(12.5%)増、前年同月比では1件(3.6%)減となった。
負債総額は73億200万円で、前月比では22億9100万円(45.7%)増加、前年同月比は30億5800万円(72.1%)増となった。
負債額10億円以上の倒産は井上通商㈱(福岡市中央区、各種商品卸、負債額43億円)1社のみで、同5億円以上も0件と負債額1億円未満の少額倒産が大半を占め、井上通商㈱1社で負債額を押し上げる形となった。
井上通商㈱は、当初電気設備機器や美容関連商品の扱いでスタートしたが、その後衣料品など扱い品の多様化を進め、商社や各種メーカーなどに販路を形成。また、近年はL/C代行業にも注力し、急速に業容を拡大して2020/1期には年商123億5670万円を計上していた。
しかし、不透明な取引の存在が取り沙汰される中、売買代金未払いで訴訟を提起され(訴訟は後に和解成立)、2022/1期には売上も51億6105万円まで大幅に落ち込み、赤字に転落。多額の金融債務を抱え、中小企業活性化協議会に支援を仰ぎ再建に努めていたが、事業継続を断念した。
近時は業界問わず、過去の不正や粉飾決算などが表面化し破たんするケースが増加しており、今後も一定数は発生するものと見られる。
2025年に入っても国内消費はインバウンドへの依存度が高く、一部の観光・飲食業は恩恵を受け、好調を維持している。繊維業界は寒波の恩恵はあるが、コロナ禍から続く生産調整のため冬物の在庫が不足する機会損失に加え、春物の出足がやや鈍く、必ずしも良い環境とは言えない。また、影響の大きい中国が不動産不況やアメリカ・トランプ大統領による関税政策などを背景に経済不況が深刻化しており、同国内及び向けの事業を行っているアパレル・小売業も厳しい情勢となっている。
昨年に比べ為替が一時円高に転じるなど輸入仕入コスト抑制の期待感はあるものの、ガソリン価格の高止まりなどで国内の製造加工・物流におけるコスト軽減は難しく、業態によって利益面に差が生じる可能性もある。
今後冬物決済が本格するにあたり、倒産件数の増加が予想されるが、それらの大半は資金繰りに詰まった中小・零細業者と見られる。
業種別では「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」「小売商」各7件、「寝具・インテリア」「その他」3件、「糸及び原料商」「織物卸」2件、「染色整理・特殊加工」「呉服・和装製品」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」各1件。
原因別では「業績ジリ貧」24件で89%を占め、「業況急変」2件、信用度薄弱1件。
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