負債30億円以上の大型倒産は5件。前年同月比で3件、前月比では2件のそれぞれ増加となった。また、20億円以上の倒産は5件、10億円以上では12件と大幅増加した。上場企業の倒産については2020年9月以降も発生は認められない。
　大型倒産では（医）友愛会（社団）が目立つ程度。1938年（昭和13年）創業、1955年（同30年）8月の老舗総合病院で24時間の救急医療にも対応し、関係会社を通じて特別養護老人ホームの運営も行っていた。しかし、新病棟開設に伴う負担は重く、取引金融機関から返済猶予を受けていたが、2020年12月に当病院で、病棟看護職員をはじめ入院患者、病棟職員が新型コロナウイルスに感染していることが判明。そのため、外来患者数が大きく落ち込み、2021年1月からは緊急事態宣言下におけるコロナウイルス患者受け入れ病床の不足解消に向け、大阪府から強い要請を受け、一部の病床を軽症・中等症対応としていた。これにより外来患者数は一層落ち込み、さらに人件費など経費負担が増加したことで資金繰りがひっ迫。スポンサー支援を受けて再建を目指すこととなったもの。
　全国の企業倒産は465件で、前年同月の666件を大きく下回った（約30％減）。8月の倒産としては1972年（昭和47年）以降の50年間で、平成バブル期の1990年（平成2年）の512件を下回り、最少を記録した。なお、前月比では475件から2％の微減にとどまった。
　負債額では全体の72％を1億円未満で占めているように、小規模・零細企業中心に変わりないが、当月は10億円以上の倒産が多く発生したこともあって、負債額724億円と前年同月比約26％増、前月比でも約27％増となった。
　今年1月～8月までのコロナ関連倒産は累計で1,024件を数えた。業種別では飲食業が緊急事態宣言で時短営業や酒類提供の禁止要請などで202件と最多で全体の約20％を占めた。次いで契約延期、中止などの影響で建設関連の10％、得意先業界の混迷で食品関連8.7％、アパレル関連7.3％と続いている。
　うち、関西地区の倒産件数は120件で前年同月の190件から約37％の大幅減少となった。一方、負債額ではユーロテックジャパン(株)の72億円、（医）友愛会（社団）の52億円ほか、10億円以上の倒産も複数あって約237億円と前年同月21％増、前月比では60％の大幅増加となった。
　東京オリンピック、パラリンピック開催中のなか、コロナ感染は猛威を振い、全国の新規感染者は連日過去最高を更新するなど、収束にまったくメドが立っていない。9月に入ってから新規感染者数はピークアウトしている印象だが、コロナ禍で痛手を負っている飲食・宿泊・観光業の財務は疲弊しており、金融機関の手厚い支援も、体力の疲弊した企業を中心に、息切れ型倒産が増えてくる可能性もある。
総合版大型倒産（負債30億円以上）
ユーロテックジャパン㈱（和歌山、ヘリコプター販売、負債72億円、民事再生法申請）
（医）友愛会（社団）（大　阪、病院、負債52億円、民事再生法申請）
㈱ＫＳＢ（福　岡、元・精麦業、負債48億円、特別清算開始）
ホームランソーラーパーク（同）（東　京、太陽光発電事業、負債35億円、破産開始）
㈱ジャス（東　京、自動車部品製造、31億円、特別清算申請へ）